
| 原生林の源流での釣りは最高に気分がいい。竿を振りながら考えた。何故、杉や檜に変えて しまうのだろう。 | |
| 昔 の 彼 | 「無闇な伐採・植林は川や海の生態系に悪影響を及ぼすので絶対に反対だ。」 |
| 今 の 彼 | 「でも、山の持ち主は孫の代に少しでも財産を残そうとお金にならない雑木を切って、少し でもお金になるかもしれない杉や檜に変えるのは当たり前の行為なのではないのかな?」 |
| 昔 の 彼 | 「でもそれでは雑木林は全てなくなってしまい、酷いことになってしまうのでは?」 |
| 今 の 彼 | 「だから、雑木を有効に使った製品などを少々高くてもできるだけ買って、雑木の必要性を上げていく事も大事だと思う。
炭を買うなら高くても日本産。それも地元のやつ。この活動中に炭焼きをして、その炭を使って七輪で焼いた日本海の石鯛は最高に美味しかったしね。 百パーセント経済ではないけれども必要な事だと感じているんだ。生産者も価格に見合った付加価値を付ける努力をするのはもちろんだけれどもね。」 |
| 昔 の 彼 | 「それは分かった。 でも植林したのはいいけれども、杉や檜が倒れている荒れ果てた森を、釣りをしているとよくみるよ。そんなのを見るとこの釣り場も直ぐにお終いだなと思ってしまう。」 |
| 今 の 彼 | 「林業を取り巻く様々な問題があるんだ。 外材による木材価格の低迷・林業労働者の減少・山林所有者の林業意欲低下などの理由で管理不足の森林が増加しているからなんだ。」 |
| 昔 の 彼 | 「それならやっぱり植林はしないほうが良いのでは?」 |
| 今 の 彼 | 「雑木林でも管理は必要だよ。 僕がお世話になった鳥取県中部森林組合では同世代の若者が多いんだ。管理をするにはやっぱり将来に向けて後継者を育てなければいけない。そこでできるだけ若い人を雇い将来に向けての管理の事を考えているんだ。 また月給制を取り入れて、雇用の促進を図っているんだよ。 行政や現場では少しづつではあるけれども何とかしようと動き出しているんだ。 後は僕達個人がこの問題をしっかりと捉えて、行政や政治に働きかけたり、ボランティアに参加したりする事が大事なんだと思う。」 |
| 昔 の 彼 | 「ふーん。」 |
| 一匹、イワナを釣り上げ、また考えた。 | |
| 昔 の 彼 | 「なんで山陰でニッコウイワナが釣れるんだ。誰がこんな源流に放したんだ。在来種を釣りたいんだ。」 |
| 今 の 彼 | 「僕もこの山陰のイワナならゴギを
釣りたい。無茶苦茶な放流は絶対にして欲しくはないと思っている。
漁協や一部個人が長期的展望も無しに安くてお手軽な種苗を放したから、こんな事になったんだ。 これが陸地で見えていたら、山陰地方に生息していない〇〇がどこどこにいたと大騒ぎになるのにネ。水の中だから。」 |
| 昔 の 彼 | 「そんな事をする漁協はなくして他の機関に川を任した方が良い方向に向かって行くのになぁ。」 |
| 今 の 彼 | 「それも一つの考え方だと思うけれども、一握りでは有るけれどもまだ鮎やヤマメを市場や旅館などに売って生計を立てている人たちがいるという事を考えれば漁協の役割は終わってないし、名川と呼ばれる川は地域の人たちの生活と密接に繋がっていることが多いと気づいたんだ。
遊魚という部門での放流だけでなく、在来種の保護育成をしていってもらいたいと考えているんだ。 でも問題があるんだ。釣人のニーズがそこには向かっていない。 量を追求する釣人が多い為にさっき言ったように安くてお手軽な種苗を放してしまうという悪循環が起きているんだ。」 |
| 昔 の 彼 | 「どうしたらよいのだろうか?」 |
| 今 の 彼 | 「外来魚(バス)問題を始め、今、在来種というものに世間の目が向き始めている。釣人だけでなく多くの人がこのことに気付き始めている。
また諫早湾の海苔問題でもはっきりしたように開発することでは経済の発展に寄与しない。これからは開発にお金をかけるのではなく、環境の維持にお金をかける時代だということを行政や政治に問い掛けていくことが必要なんだと思う。 開発するお金で在来魚の保護育成や環境の維持をしていく人間を育てれば地域の経済の発展にも有効に働くと思う。」 |
| 人の生活の匂いがする里川の釣りは心が暖 かくなる。だが最近里川で人の匂いを感じられなくなっている。何故匂いがしないのだろうか。 | |
| 昔 の 彼 | 「鳥取の川はきれいだけれども田畑からは農薬が酷く流れ込んできていないのだろうか?日本中、綺麗に見えるだけで本当は恐ろしい事になっているのではないのだろうか?」 |
| 今 の 彼 | 「今の農薬は数日間で分解して無毒になるとのことだけれども。」 |
| 昔 の 彼 | 「でも、それが数日間は毒性を持ちながら川に流れてきて、汚染するんだよね。やっぱり農薬は反対だ。」 |
| 今 の 彼 | 「それは川しか見ていない釣人の意見だと思う。
実際この一年間、二十世紀梨を主とした農業を手伝ってきて気づいたんだ。 農業は農を生業とする商売だということに。育て上げた作物を一つでも無事に多く売ろうとする為に農薬をかけることは必然だと思う。だからと言ってこのまま農薬に頼りっぱなしで良いと言っているんではないよ。 JAとうはくでは マルチ米栽培と言って、鳥取大学名誉教授の津野幸人さんが開発した新しい稲作方法で、水田に紙マルチというシートを敷いて、その上に田植えをする栽培方法に取り組んでいるんだ。マルチが稲以外の田んぼ表面にあたる日光を遮断して雑草の発生を抑えるから除草剤を完全に使用しなくてよいという画期的な栽培方法なんだよ。 また、梨園では天敵農薬(テントウムシによるアブラムシの防虫)の実験をしていたよ。 すぐに全てが無農薬には絶対に出来ないけれど少しずつその方向に進みつつあるみたいなんだ。 後は消費者が無農薬と言う付加価値の付いた高い商品をできるだけ買うということが無農薬への道を早くするんじゃないのかな。」 |
| 昔 の 彼 | 「でもそんな高価なものはお金持ちでもない僕が毎日は食べれないや。」 |
| 今 の 彼 | 「毎日でなくていいんだ。一回釣りに行くのを止めて、その分だけ無農薬の商品を買えば良いんだ。
たったそれだけのことを全ての釣人が行なえばかなりの農薬を撒かなくて済む事になるんじゃないのかな。 そのことを皆が意識していって欲しいと思っているんだ。」 |
| 昔 の 彼 | 「でもその農家の方や地域の人が川を汚してもいるよ。よく農機具やゴミが川の橋の袂に捨てられているのを見るんだ。そんな農家に援助もどきをする気は起きないよ。」 |
| 今 の 彼 | 「街中でもそうだけれどもモラルのなっていない人がいることは確かだ。
でも自分が田畑に使う水脈に農機具なんかは絶対に捨てないよ。 聞いた話だけれども山向こうの全然自分の所とは関係ない場所に捨てに行っているみたいだよ。 まぁそのことは問題の解決には関係ないので置いといて、この問題は地方行政と慣習そして無知による問題でもあるんだ。 某町でも上の部落の方はゴミ収集車が回ってないんだ。これには驚いた。下の部落からは車で十分かからないくらいの距離なのに下の部落は来て、そこはこないらしい。 川に捨ててはいけないが捨てたくなる気分もわかってしまった。 また昔は部落のゴミ捨て場があってそこで燃していたんだけれど慣習として(本当は野焼きをしてはいけません。)未だに燃やし続けている。 そして、昔みたいに全てが灰や土に戻るものではなくなっている。そのゴミの燃やし場が河原だったりするんだ。」 |
| 昔 の 彼 | 「要は教育若しくは指導と刑罰の問題なのかな。」 |
| 今 の 彼 | 「川のゴミ問題を解決しようと思ったらその通りだと思う。
しっかりとゴミに対する教育を子供に施し、大人には厳しいくらいの刑罰を与えればかなりこの問題は解決すると思う。 これも行政に働きかけなければ叶わないけどね。」 |
| 昔 の 彼 | 「何か言い足りないみたいな口の回し方だね。」 |
| 今 の 彼 | 「ゴミ問題の話になってしまったけれども話そうとした方向とはそれてしまったんだ。」 |
| 昔 の 彼 | 「何それ。」 |
| 今 の 彼 | 「作者の表現能力が完璧に足りないって事さ。
本当は農家いや農山村の方いや人間が川や山や海から遠ざかってしまいつつあるって事が淋しいんだ。 白神山地で公僕が行なった振る舞いみたいに入山禁止や自然の開発による問題。両極端なんだ。 人と自然との触れ合いというか、♪ウサギ追いしあの山〜♪小鮒釣しかの川〜みたいな物が大事なことなんだとこの一年の活動で感じたんだ。 僕風に言い換えれば♪ヤマメ追いし里川〜♪イワナ釣りしかの渓〜なんだけれどもね。 本当にこの一年は自分の中でいろいろな事を感じ、考えさせられた。そして、これからも感じ、考えていきたいと決意したんだ。」 |
| 昔 の 彼 | 「何かわからんけど大変そうだね。」 |
| 今 の 彼 | 「君も一年後には同じ事を言っているさ、間違いなくネ…。」 |
| 昔 の 彼 | 「ふーん…。」 |
彼の胸の内ではまだまだたくさんの言葉が言い交わされていましたし、『今の彼』が言うように作者の表現能力不足の為、うまく表現できなかった部分があります。残念でしかたありません。
でも本当に良い一年でした。緑化センターの方、鳥取で出会った方、同期の皆、この一年間で出会った全ての方、本当にありがとうございました。